2024年1月31日を最終出社日として、新卒から8年半ほど勤めていた株式会社はてなを退職します。次の会社は決まっていますが、そちらについては入社エントリでお話しします。
はてなでの思い出
社内でいくつかのプロダクトに関わらせていただきました。「Webアプリケーションエンジニア」という職種でサーバサイドやフロントエンドのコードを書いたり、TerraformやAWS CDKのコードを書いたり、時にはスクラムマスターやテックリードなどもしてきました。「はてなブログ」のような社名を冠したサービスには結局携わらないまま転職することになってしまって若干心残りですがここまで経験した色々な仕事はどれも面白かったです。
サーバー管理・監視サービス「Mackerel」
新卒としてはまずMackerelチームに参加しました。はてなを志望したものの私はWebアプリケーションの開発の経験が浅く最初のうちはとても苦労した覚えがあります。Pull Requestを出してみたらレビューの打ち返しがかなり出てきてしまって中々マージできなかったりしたので、それを見かねて簡単な課題を先に出していただいたり、ペアプログラミングを丁寧にしてもらったりしました。非常に心苦しいながらも、ありがたかったなと今でも振り返って思っています。そのようにしてちょっとずつ機能開発を進めて、最終的には「Azure インテグレーション」という機能をリリースしたことがとても印象に残っています。
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出版社向けWebマンガビューワ「GigaViewer for Web」
マンガメディア開発チームに異動してGigaViewerの開発に携わりました。今では多くのWebマンガサービスに導入されているGigaViewerですが、私が異動した当時はまだ1つのサイトでしか導入されておらず、これから2つ目3つ目の案件を作っていくという状況でした。Mackerelとは違ってマンガサービスは大半のユーザは未ログインでやってくるし、人気マンガの公開日時に一斉にアクセスが集中するという面白い性質がありました。マルチテナントとしてコアのロジックを持ったまま如何にして出版社ごとにカスタマイズするかというところもポイントでした。
マンガメディア開発チームではマガポケ*1、コミックDAYS、くらげバンチをはじめとして、様々なサイトへの導入をする流れで仕事の進め方を学んで徐々に中堅のエンジニアとして力をつけていきました。
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マンガ家向けWebサービス「マンガノ」「ジャンプルーキー!」
最後の2年ほどは、マンガ投稿チームでマンガノとジャンプルーキー!の開発に携わりました。マンガ投稿チームは出版社というよりは「マンガ家さん向けのサービス」を主軸として独立したチームでしたが、チームが出来た当初は二つのプロダクトの開発を上手く回していくことに個人的に課題を感じていました。
私は社内のチーム横断で開発プロセスについて議論する「すくすく開発会」に顔を出して、その「サブ会」の支援を受けて認定スクラムマスターとなり、開発プロセスに本格的に力を入れるようになりました。実際にチームにスクラムを導入し、横断的にバックログのリファインメントをして、決まった周期でのふりかえりもやれるようにしました。
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他にアウトプットされているわかりやすい成果としてはブランチごとの開発環境の整備です。これはGoogle Cloudを今までまともに使ってこなかった私が試行錯誤しながら楽しく準備して開発者の体験も上げられたのでとてもよかったです。
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また、依然として自分自身の純粋な技術力に課題感を感じていた私はテックリードの交代を提案し、最後の1年半ほどはテックリードとして過ごしました。テックリードとしてチームの課題 (ボトルネック) の洗い出しと改善を進行していました。まだ効果はこれからというところですが、エンジニアリングマネージャー (EM) の協力の元少しずつ未来やプロダクトについて考えられるように鍛えてもらいました。
ソフトウェアエンジニアとしての発信
私は元々SNSやブログの発信が好きでよく書くほうでしたが、はてなの同僚が実際に沢山アウトプットされているのをみてよりがんばっていこうとやってきました。
デベロッパー、スクラムマスター、テックリードと経験を積むに連れて視野は広がり視座も上がってきたので、昔の自分と比べて良い思考ができるようになったり良いブログ記事を発信できるようになったと思います。どれも仕事で与えられた色々な経験のおかげでした。以下は直近の11~12月に書いた個人的に良いことが書けたなと思った記事の一部です。
- エンジニアリングマネージャーの4領域はEM以外のメンバーでも濃淡はあれど意識する必要がある - stefafafan の fa は3つです
- テックリードとして技術的施策をチームに提案する際に意識すべきポイント - stefafafan の fa は3つです
- Webアプリケーションエンジニアとして1on1してもらう際に考えていること - stefafafan の fa は3つです
- OSSコントリビューションへの一歩に悩んでいる方向けにちょっとした事例を紹介 - stefafafan の fa は3つです
最近は「はてな」のGo言語コミュニティでの知名度をあげたいという思いで活動していました。私が辞める直前に社内の「Goサブ会」メンバーが「hatena.go」を立ち上げてくれたので非常に嬉しく思いました。今後に期待しています。
blog.stenyan.jp
退職を決意した理由
会社が嫌で辞めるというよりは、自分のキャリアを考えての転職を決意しました。
今後の人生を考えた際に、最後まで1社しか経験していない人生よりも2-3社経験している人生のほうが面白そうと思いました。特に私はもうはてなでは8年以上勤めており、Web系エンジニアとしては在籍年数は長い方だと思います。どうせそのうち転職するのであれば、さっさといま決断したほうがいいだろうと思いました。仮に35とか40になってから初めての転職を経験するとしたら採用する側も期待値がさらにあがるであろうし、もしかしたら「はてなという特殊な環境下でしか成果を出せない」エンジニアになってしまっているかもしれません。年齢でどうこう言うつもりはないですが、残りの人生のことを考えるなら早く行動するほうがいいのではないかと考えました。
また、私が辞めようと思ったもう一つの理由として、同じ会社に古参メンバーがいつまでもいると面白みがないのではという考えもあります。はてな歴10年前後なエンジニアが何人もずっと在籍していると、後に入社されるエンジニアもなんとなく古参メンバーに頼ってしまったり、古参メンバーの文化に染まっていってしまうと思います。新鮮味がなくなっていく事態を避けるためにも古参メンバーはどんどん異動なり転職なりしたほうが面白いんじゃないかと思っています。
ただまあ、私も新卒の頃に先輩がこういうことを言って退職されるのをみてとても悲しい思いをしたので、今いる特に若手のメンバーもそういう気持ちの人がいるのかもしれないと考えると申し訳ないですね。Twitter (現X) などでいつでもご連絡ください、また遊びましょう!