2021年現在、スクラムガイドを参照したい場合は最新の2020年のスクラムガイドを読むことになります*1。このスクラムガイド、初出が2009年頃で数年置きに改訂されており、公式サイトから差分が確認できます。
一方で、初見で突然この差分のページを読んでもちょっとむずかしいと感じたので時系列ではなくテーマ別に整理してみようと思います。適当に日本語にしたり英語のままだったりしますが読みづらかったらすみません。以下の記事も参考になりました。
www.scrum.org
Sprint Planning
- Release Planning (2010) → 必須ではないため削除 (2011)
- Sprint Planningで積んだ仕事を必ず終えることにcommitする (2010) → Sprintで終えられそうな仕事をforecast(予測)する (2011)
- 2つのパートに分けられていたSprint Planning Meeting (2011) → 2つのトピックについて話すSprint Planningに (2013) → 3つのトピックについて話すSprint Planningに (2020)
- 2011年: Sprint Planning Meetingでは何が作られるのか (What) とどのようにして作られるのか (How) が会議の前半と後半明確に分割されていた
- 2013年: Sprint Planningでは2つのトピックについて話す1つの会議という形になった
- 2020年: なぜこのSprintがvaluableなのか (Why) という3つ目のTopicが追加される
Backlog, Burndown
- Sprint Backlog items (2010) → 必須ではないため削除 (2011)
- Sprint BacklogとはSprintごとに選ばれたProduct Backlog Itemとそれらをデリバーするためのプランであるため、Sprint Backlog Itemsを使うことは必須ではない
- Burndown Chart (2010)→ 必須ではないため削除 (2011)
- Dailyで残タスクの状態やスプリントゴールに対する進捗などは確認することは大事だが、Burndownチャートを使うことは必須ではないという意味
- Product Backlogはprioritizedである (2010) → Product Backlogはorderedである (2011)
- Product Ownerにより並べ替えの自由度を与えるため
- Product Backlog Groomingが追加される (2011) → Product Backlog Refinementに名称変更 (2013)
- Sprint Backlogには少なくとも前スプリントのRetrospectiveからの改善を1つ含むようにする (2017) → 必須ではないため削除 (2020)
Daily Scrum
- 2011年: 以下の3つについてDevelpment Teamメンバーは回答する
- What has been accomplished since the last meeting?
- What will be done before the next meeting?
- What obstacles are in the way?
- 2013年: 2011の説明ではステータスミーティングだと思われかねないため、以下のように質問を調整
- What did I do yesterday that helped the Development Team meet the Sprint Goal?
- What will I do today to help the Development Team meet the Sprint Goal?
- Do I see any impediment that prevents me or the Development Team from meeting the Sprint Goal?
- 2017年: 2013時点の質問は残しつつ、3つの質問をすることは1つのやり方ではあるが必須ではないとする
- また、デイリースクラムの紹介の文章も調整が入り、「毎日行われること」「これを実施することによりメンバーのコラボレーションやパフォーマンスが最大化される」などが追記される
- 2020年: スクラムガイドをより簡潔でミニマルなフレームワークにするため、3つの質問は削除される
Sprint Review
Scrum Master
そのほか
- Artifact Transparencyについての章が追加される (2013) → IncrementにDefinition of Doneが紐づく形に整理された結果Artifact Transparencyの章が削除される (2020)
- Scrum Valuesについての章が追加される (2016) → 文章がちょっと整理されてよりわかりやすくなる (2020)
- commitment, courage, focus, openness, respect の5つのバリューが紹介され、以前からある transparency, inspection, adaptation との関係について軽く書かれるように
- Uses of Scrumの章が追加される (2017) → Scrum Definitionと合わせて整理され、単独の章は消される (2020)
- 序盤のScrumの紹介の部分にこの章を追加することによって、ソフトウェア開発に限らず様々な分野で活用できることを示している (2017)
- 2020年版ではここに限らず全体的にコンパクトに収めるためにUses of Scrumがなくなっていそう
- Incrementの定義に1文追加 (2017)
- 検査可能な、完成の定義を満たしたものであり、また、ビジョンやゴールに向かうステップであることが追記されている
- at most というフレーズを使うことにより、会議が早めに終わっても良いことを明確にする (2017)
- Sprintの期間は固定だが、それ以外のイベント(会議)は目的を終え次第早めに終わっても問題ない
- Product Goalが紹介される (2020)
- SprintごとにSprint Goalよりもさらに大きなProduct Goalに近づくべき
- Sprint Goal, Definition of Done, and Product Goal それぞれの存在意義をよりわかりやすく調整 (2020)
- Product Backlog に Product Goal が、Sprint Backlog に Sprint Goal が、Increment に Definition of Done が紐づく形
- Self-Organizing が Self-Managing に (2020)
- 1つのチームであることを意識した上での文言の調整とのことで、それ以上の大きい変化はなさそう *2
- Incrementを開発するチームの名称は Development Team、もしくはDevelopers (2011) → Scrum Team (Product Owner, Scum Master, Developers) (2020)
- Product Owner と Development Team の対立構造にならないように1つのチームに
- IT系の特有の用語を省いて、より広い分野でスクラムガイドを読んでもらえやすくなった (2020)
- testing, system, design, requirement などが省かれた