『はるまで、くるる。』というゲームをここ数日プレイしていて最後までクリアしたので感想を書きます。このゲームは18禁で性描写ありなので、未成年の方はいますぐブラウザバックしましょう!
あらすじ
主人公含めヒロイン全員記憶喪失な状態で温泉宿のような場所で目覚める。何者かが宿に残したメモによると、3ヶ月生活するとそのうち助けが来るとのこと。幸い宿には食料があり、なぜか宿の周りには食べれる山菜などが豊富なのでいきていけるし、宿の電気や温泉は使い放題。外を出るとやけに高い塔が立っていてそれだけが異質。周辺には彼ら以外の人間はいなさそう。この状況の中全員で3ヶ月を過ごすというお話。
ネタバレなし感想
ネット上でよく言われているけど序盤で設定の説明なしにヒロイン全員に好かれた状態でスタートするので困惑する。話の途中からはじめてからOPムービーに入り、その後最初からはじまるという展開の仕方なのでよくあるっちゃあるが最初の数時間で投げ出してしまうともったいないとは思った。シナリオ担当の人もツイートしている↓
『はるまで、くるる。』が500円! 安いよー! 本作は大勢の人に支持していただいてる作品なんですが、序盤があまりにもつまらなすぎる、という熱い意見を多数すぎるほど多数いただいてますので……序盤は我慢しろ! なっ? OPが来るまで忍耐!https://t.co/GffjVj9RlL
— 渡辺僚一 (@watanaberyoichi) 2021年4月1日
序盤は置いておいて、プレイしてた感じなんとなく「がっこうぐらし!」のアニメや漫画を読んでるときの感覚になりました。というのも、絵柄は可愛い女の子が沢山登場するが、徐々に不穏な展開になっていくというのが似てるなと思った。また、「狭い空間に閉じ込められている」とか「なんだかよくわからない異質な物体が登場する(今作の場合ものすごい高い塔)」のような設定も、どうしても答え合わせをするまで終わらせたい!という気持ちになって最後までプレイさせられた。実際答え合わせの場面辺りから数時間ノンストップでプレイすることになった。
このゲームは「萌えゲーアワード2012 シナリオ賞」を獲得しているらしいが、確かに序盤からは予測しにくいシナリオの展開の仕方をしていて、答え合わせのときは結構突飛な話にはなるものの現実の理論などに基づいていてある程度納得できるようなバランスを持った話なのがよかったと思います。(ちなみにSF的な展開です)。一方でやっぱり序盤がつまらないのと、答え合わせ以降の展開が少し早すぎるというのがあったと思います。途中の日常パートも悪くはないけど平凡というか、ヒロインの魅力が薄いのもあったのかなとも思った。
まあ全体でみて、10時間くらいのボリュームでもそれなりに驚く展開を体感できたことや、セール中の500円のときに買ったのでさすがに500円にしてはお得すぎると思ったのでおすすめできます。自分はこのまま同じシリーズの「なつくもゆるる」や「あきゆめくくる」も買おうかなと思っています。これらも多分同じようにSFな感じのシナリオになってるのだと思います。
ネタバレあり感想
ここからはネタバレ気にせず書こうと思います。細かいこと思い出しながら書くの大変なので他の人のエントリも参考にした。
fillecosette1an.blog116.fc2.com
序盤のハーレムルート
まず最初はハーレムルート?扱いで全ヒロインから主人公が好かれていてしかもエロシーンが立て続けにやってきて、ここだけで大半のエロシーンが消化された気がする。自分のようにシナリオ目的でこのゲームを手にとったものとしてはシーンは全部スキップしたし本当に蛇足という気持ちしかなかった。前評判みてなかったら絶対ここでこのゲームやめてたと思う。ほんとうに。まあ最終的に「人類の子孫を増やす」ためにもハーレムは大事という話みたいだけどそれにしてもねえ。
春海ルート
春海という一番胸がでかいキャラといちゃこらするルートと見せかけてこの子が殺人騒動が抑えられないということで、主人公に相談をするみたいな話。結局主人公のことを3ヶ月かけて「ゆっくり殺す(ちょっとずつ死なない程度に傷つけていく)」ということになったけど、痛々しくてちょっとやっててつらかった。恋愛シミュレーションゲームとは?
このへんでこの子が「この空間は外から観察されていて、殺人鬼である私がどうなるのか実験しているのではないか」という仮設をたてて、主人公もなぜか「俺も殺人鬼なのでは…」と言ってておやおや、となる。こういう感じで徐々に世界の秘密に迫っていくのは盛り上がりますね(この仮設は言わずもがな外れていた)。
とはいえここではやっぱり塔の不思議とか空間に他に人がいない不思議は解明されなかった。
最終的に「俺たちはみんな生きてるだけで死にちょっとずつ向かっているんだ」という主人公の話によってどうにか春海は殺人をやめれるようになったっぽいけどそれでいいのか?というのは正直あった。まあ主人公に惚れてるならそういうものかな。
秋桜ルート
キャラとしてはご注文はうさぎですか?のリゼ風味で一番好きだったかもしれない。一番常識人っぽい恥ずかしがり屋キャラ。
このルートではなぜか冬音という金髪キャラの子が部屋で殺害されることをきっかけに、主人公と秋桜で要因や犯人を暴くというシナリオ。プレイヤー的には春海ルートの後だから完全に春海が怪しい状態ではあるけど、殺害方法が死体に穴をあけずに腹部に巨大な時計を入れてそれによって内蔵を傷つけた?とかでオカルトっぽさが出る。
異常な死体が登場してプレイしてる側としては結構暗い感じになっていきつつ、しかも新たな謎も増えて「これ一体どうしていくの」という感じではあった。
結局答えは冬音が「もうひとりの冬音」を世界の「ループのバグ」を利用して殺したということだった。どういうこと?って感じだけど、世界は3ヶ月ごとでループしてリセットしていてそのときに体内に注入した「粉々にした時計」が世界の「元に戻る力」を利用して体内に時計を埋め込んだということ。この話を聞いて内心「Braid」というゲームのことを思い出した。壊れたものを時間巻き戻して元通りにするという話ね。
で、それはいいのだけどもじゃあ冬音はなぜ世界がループしていることを知ってるのか、冬音はなぜ他のループの記憶を保持しているのかという別の謎もわいてくる。いよいよ話が面白くなってきた。こういうの考えるのは好きです。ずっとループしていて一部のキャラが記憶を保持しているというのは、STEINS;GATEとか涼宮ハルヒのエンドレスエイトとか連想しますね。
キャラとしては秋桜好きだけど、シナリオがシナリオなのでここで突然いちゃこらが始まってもなにも嬉しくないというのはある……。
冬音ルート
一人だけループとループの間の記憶が残っている謎のキャラというのもあって、ここで大体の種明かしがされる。すでにループものであることはわかるのだけど、どういう世界なのか何のためにループしているのかすごい高い塔は何なのかがまだわかっていない。
このルートは妹キャラとイチャイチャするルートということで平和に展開していく(なぜか世界のバグによって誕生したもうひとりの冬音「真冬」も登場する)。これはほのぼのしていて良いけど個人的には世界の謎をはやく答え合わせさせてくれという思いもあった。
でこのルート終盤「89日目」冬音は学校の開かずの扉みたいなところに主人公を連れてくれて、その中で世界の秘密を基本的にすべて教えてくれる。ここまでは「はいはい、ゲームにありがちなループものでしょ」という気持ちはもってるものの思いの外設定が斜め上で結構びっくりした。
- 時代: 西暦10012年。未来すぎる。
- 場所: インドとパキスタンの間の地方の地下。ここまでずっと地上だと思ってたけどあれ地下の中で日本っぽい環境を再現していたのだ。
- 地上はどうなってるのか: 3000年辺りに氷河期が到来した結果、人類はこの空間にいる数名以外滅びている。
- 塔は: 外部への非常口だけど地上はいまこういう状態なので使えない。
- ループ現象: あの空間がまるごと3ヶ月の「老化」と「幼化」を繰り返す仕組みになっていて、これはクラゲから分泌した成分を使って実現できたらしい (?)。ほんまかw
- 男性は絶滅: Y染色体の問題で男性が絶滅してしまったので、人工的にY染色体を作って男性を作る、という研究によって主人公が誕生したけど、その結果主人公は表情がなくて「壊れている」。
- 冬音だけ記憶を保持している件: 空気中の「4次元配列」を使って記憶を保存しているおかげで? 世界の幼化に影響を受けずに情報を持ったままで存在できる、とのことであの空間の管理人になっている。がそろそろ厳しいので主人公に管理人交代したいとのこと
えっと……。「時間のループ」以外に「地上と見せかけて地下だった」「氷河期で人類滅亡していた」「男性を人工的に作っていた」「超ひも理論的な話題」などが立て続けに冬音から口頭で説明されていて展開が早すぎるというか情報が多すぎる。そうなんだ、となった。
で、人類が滅びることがわかってたので未来に託すという感じでこのメインキャラ5人を地下のシェルター的なところに入れられ、そのまま数千年経過しているという状況。ここから先は、人類存続をどうやっていくかという問題になって突如問題の規模がでかい。
さっきまで妹といちゃこらしてたのがこうなって、「なんだこれ」となった。
結局冬音は絶望して死んで、で主人公が代わりに管理人になるけど主人公も絶望して「死んで」管理人不在になる。死ぬといっても、「幼化」によって生き返るのだけど。
静夏ルート
主人公は前述の絶望の件があるので、ちゃんとは覚えていないけど最初から全て諦めきった状態になっていて、シュタゲのオカリンみたいな状態を想像した。
静夏は主人公のことを最初から好きっぽくて(過去の記憶が結構残ってる模様)あの手この手で主人公を元気づけようとする。最終的に謎のAI(管理室のパソコンに住むAI)からメールを受け取って世界の秘密を大体知って、主人公と一緒に管理室にいくことになる。
ここで初登場のAIはなぜか猫語で喋りかけて完全に自我がある(未来なのでまあこういうこともあるか?)。人類存続が目的なので、主人公に選択を迫る。
- 地上には人間がさらに進化した別の生命体が5000人生きているが彼らの命を犠牲に地球を太陽系から脱出させて氷河期を脱するか、それともこのままにするか。
「このまま」を選んでも結局太陽の活動は弱まり地上にいる生命体も死にゆくので、地下の5名が生き残ることにかけて太陽系脱出して別の太陽の元でやっていくことを決意する。まじでどういうスケール感の話なんだこれ……。
まあ結局これが成功して、「最後のループ」で主人公が全員にネタバラシをして、よっしゃ新たな太陽の元に無事到着したら地上に出ようということに。それで地上にでたところ桜?が満開で1万年ぶりくらいに春を迎えてハッピーエンド。この日までずっと笑顔の練習をしていた主人公もばっちし笑顔を決める。あまりの壮大さによくわからん気持ちになってるプレイヤーの自分はよくわからん表情のままエンドロールを眺める。
終わり
序盤のハーレムがこんなことになるとは。ブログ書くだけでも結構大変だった。同シリーズの他ゲームもやるぞとは思っているものの、しばらくはいいかなという気持ちにもなりました。